ガバナンス Governance
コーポレートガバナンス
当社は経営理念の一つとして掲げている「社会に進歩と充実をもたらすすぐれた商品を提供する」ことを通じて、株主や取引先をはじめとする、すべてのステークホルダーの期待と信頼に応え、企業価値を高めることを目的に、事業活動を行っています。当社の持続的な成長および中長期的な企業価値の向上には、実効性あるコーポレートガバナンスのあり方を追求していくことが不可欠であり、経営の健全性、信頼性向上の観点から、適時適切な経営情報の開示およびコンプライアンスの徹底などを通じた、コーポレートガバナンスの充実が、重要課題のひとつであると認識し、取り組んでいます。
当社におけるコーポレートガバナンスの状況の詳細については、コーポレートガバナンス報告書をご参照ください。
体制
当社の取締役会を構成する取締役数は経営監督機能を充分に発揮し、かつ経営環境の変化に迅速に対応するため、現在は10名としています。また、意思決定に第三者の視点を加え、経営の透明性・客観性を確保するために、 2013年6月から社外取締役を招聘しており、現在は4名の社外取締役を選任しています。
当社は、業務執行にかかる責任と役割を明確にしつつ、業務執行の効率化・迅速化を図るため、執行役員制度を導入しており、現在は16名の執行役員を選任しています。
さらに当社は、取締役会の任意の諮問機関として、代表取締役社長を委員長とし、4名の社外取締役を委員とする指名・報酬委員会を設置しています。指名・報酬委員会では、取締役候補および監査役候補の指名に関する事項、取締役の解任に関する事項、執行役員の選解任に関する事項、取締役および執行役員の報酬に関する事項など、役員の指名および報酬に係る重要な事項について、公正かつ透明性を確保しつつ審議を行い、取締役会に適切に答申を行っています。
当社は、取締役の職務執行に対して適切な監査を行うため、監査役制度を採用しており、現在は、常勤監査役が2名、社外監査役が2名の合計4名の体制となっています。監査役は、取締役会その他の重要な会議への出席や重要な決裁書類の閲覧などを通じて取締役の職務執行を監査しています。また、社長直属の組織として内部統制室を設け、グループ全体の業務執行に関する内部監査を行っています。
*1 経営会議(原則として毎週1回)には取締役及び常勤監査役が出席する。
*2 常務会には執行役員を兼務する取締役が出席し、監査役は資料を閲覧する他、必要に応じて出席あるいは関係部門から説明を受ける。
*3 弁護士法人星川法律事務所
取締役会のスキル・マトリックス
当社取締役会が備えるべきスキル項目を、
①企業経営、②販売(国内・国外)・マーケティング、③製造・設備・研究開発、④財務・会計・人事、⑤グローバル、⑥IT・リスク管理と特定しています。当社の取締役会は以下のようなスキルを備えるメンバーにより構成されます。なお、スキルマトリクスについては毎年、指名・報酬委員会の審議・答申を受け、取締役会にて決定しています。
氏名 | 役職 | 企業経営 | 販売(国内・ 国外)・マーケ ティング |
製造・設備・ 研究開発 |
財務・ 会計・人事 |
グローバル | IT・ リスク管理 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
久保田 尚志 | 取締役会長 | ● | ● | ● | |||
浦田 成己 | 代表取締役社長執行役員社長 | ● | ● | ● | ● | ||
小林 伸互 | 代表取締役執行役員副社長 | ● | ● | ● | |||
豊田 浩 | 取締役常務執行役員 | ● | ● | ● | ● | ||
山田 恒 | 取締役常務執行役員 | ● | ● | ● | |||
秋本 朗 | 取締役常務執行役員 | ● | ● | ||||
谷 謙二 | 社外取締役 | ● | ● | ● | |||
菅 泰三 | 社外取締役 | ● | ● | ● | |||
江藤 尚美 | 社外取締役 | ● | ● | ● | |||
小川 麻理子 | 社外取締役 | ● | ● | ● | |||
木内 康裕 | 常勤監査役 | ● | ● | ● | ● | ● | |
小野寺 俊博 | 常勤監査役 | ● | ● | ● | |||
星谷 哲男 | 社外監査役 | ● | ● | ● | |||
若松 壮一 | 社外監査役 | ● | ● | ● |
取締役会実効性評価
当社は、持続的な成長および中長期的な企業価値の向上には、実効性あるコーポレートガバナンスのあり方を追求して いくことが不可欠であると認識しています。そのため、取り組みの成果や進捗を確認し今後の課題を明確化することを目的に、取締役会の実効性評価を2016年度から実施しています。
2022年度の評価結果を踏まえた2023年度の取り組み
取締役会の実効性の向上を図るため、「取締役および監査役選解任要項」の制定および「指名・報酬委員会運営規則」の改訂、感染症対応型BCPの策定への着手、社外取締役と内部統制部門、および複数の個別部門との意見交換会等を実施しました。
2023年度の評価
1.評価の方法
取締役および監査役全員に質問票を配付し、自己評価による回答を得ました。社外取締役を中心として、その回答内容を分析、評価し、取締役会にて議論いたしました。
2.評価結果の概要
ジェンダー、国際性、職歴等、取締役会構成の多様性とバランスを考慮した取締役の人選や、サステナビリティ課題への積極的・能動的取り組み等について一定の評価を受けました。
他の回答内容も勘案すると当社取締役会の実効性は良好に確保されているとの結果となりました。
3.今後の取り組み
2024年度は次の課題について重点的に取り組んでいきます。
●重要な経営課題に関する議論の深化(資本コストや株価を意識した経営、中長期の成長戦略、DXの活用等)
●社外取締役と社外監査役の意見交換の機会を新設
また、取締役会の実効性評価の枠組みや評価手法の改善 に向けて継続的に検討を進めていきます。
役員報酬制度
当社の役員の報酬等は、①基準報酬、②株式報酬、および③役員賞与から構成されます。但し、経営に対する独立性、および客観性を重視する観点から、社外取締役、および監査役の報酬等は、①基準報酬のみとしています。
① 基準報酬
役位ごとに金額を定め、原則として月額で固定とし、現金で支給
② 中長期インセンティブ(株式報酬)
基準報酬の10%相当の特定譲渡制限付株式を、社外取締役を除く取締役に対して、毎年一定の時期に支給
③ 短期インセンティブ(役員賞与)
個別業績を反映した役員賞与を支給
決定プロセス
〈基準報酬の総額、および役員賞与の総額〉
過半数を独立社外取締役とする指名・報酬委員会の審議・答申を受けて、取締役会の決議により決定する。また、取締役に対する個人別の報酬額については、取締役会の決議による委任を受けた代表取締役社長が、指名・報酬委員会の審議・答申を受けて決定する。
〈株式報酬の総額〉
指名・報酬委員会の審議・答申を受けて、取締役会で決定する。また、個人別の報酬の内容は、指名・報酬委員会の審議・答申を受けて、基準報酬の一定割合を目安とし、代表取締役社長が決定する。
〈監査役の個人別基準報酬額〉
指名・報酬委員会の審議・答申を受けて、監査役の協議により決定する。
2023年度に係る報酬等の総額
区分 | 対象となる 役員の人数(人) |
報酬等の総額 (百万円) |
報酬等の種類別の総額(百万円) | ||
---|---|---|---|---|---|
基準報酬 | 業績連動報酬等 (役員賞与) |
非金銭報酬等 (特定譲渡制限付株式) |
|||
取締役 (うち社外取締役) |
9 (4) |
300 (31) |
158 (31) |
128 (-) |
13 (-) |
監査役 (うち社外監査役) |
5 (2) |
41 (13) |
41 (13) |
- (-) |
- (-) |
注
- 1.上記報酬等の総額には、当事業年度中に退任した監査役1名分が含まれております。
- 2.業績連動報酬等として、社外取締役を除く取締役に対して役員賞与を支給しております。業績連動報酬等の額の算定の基礎として選定した業績指標は当事業年度の連結営業利益であり、 実績は200億10百万円となりました。当該業績指標を選定した理由は、当社の経営成績を評価するうえで重要な指標であるためです。業績連動報酬等の額の算定方法は、当事業年度の連結営業利益のほか、配当総額およびその他の事項を考慮して支給の可否および総額を決定しております。なお、業績連動報酬等の額は、連結営業利益の絶対額を考慮して算定しているため、目標値は定めておりません。
- 3.非金銭報酬等として、社外取締役を除く取締役に対して特定譲渡制限付株式を付与しております。
コンプライアンス
当社は、コンプライアンス委員会を設置して、企業倫理ならびに法令遵守意識がすべての役職員に浸透するよう取り組んでいます。本委員会は、コンプライアンスに関わる重要方針を審議・立案し、各部門と協働してその徹底を図っています。また「コンプライアンス宣言」を掲げ、当社が今後ともコンプライアンス精神の涵養に努めることを社外にお約束しています。
内部統制
当社は、すべての役員および社員が遵守すべき事項として「行動規範」を制定し、業務遂行にあたり、国内外の法令を遵守することはもとより、社会ルールを尊重し、良識ある企業活動をおこなっています。また、常勤取締役を長とするコンプライアンス委員会により、法令に違反する、またはその恐れのある行為を防止する体制を確立しています。
内部統制システム構築のための基本方針
当社は、平成27年4月28日開催の取締役会において、「内部統制システム構築のための基本方針」を下記のとおり改訂決議いたしました。
コンプライアンス活動
当社のコンプライアンス委員会では、年度を通じたコンプライアンス教育の計画・実施状況の他、コンプライアンスに関わる事例や取り組みをグループ全体で共有しています。委員会事務局も、イントラネットなどを通じた社員向けの情報提供、注意喚起・啓蒙サービスによりこれらの活動をサポートしています。
内部通報制度(ヘルプライン)
当社グループでは、グループ内の公益通報制度として「NASグループヘルプライン規程」を制定しています。当社グループ各社の業務に関連して、法令や当社グループ各社が制定する「⾏動規範」に違反、または違反する恐れのある⾏為が⽣じていると思われたときは、当社が設けた各窓⼝に、相談・通報することができます。
相談・通報対象者
⽇本冶⾦⼯業およびグループ会社の従業員*、派遣労働者*、役員
当社と取引のある全ての事業者の⽅*
*1年以内の退職者を含む
守秘義務の厳守
通報へ対応する者の範囲を必要最⼩限に定め、その範囲外の者と通報事案に関する情報を共有することを禁じています。また、匿名による通報でも差し⽀えありません。
不利益な取り扱いの禁⽌
通報したことを理由として、通報者に対しいかなる不利益な取り扱いをすることも禁じています。
相談・通報窓⼝
(1)〒104-8365 東京都中央区京橋⼀丁⽬5番8号 三栄ビル
⽇本冶⾦⼯業株式会社 内部統制室⻑ または 総務部⻑
メールアドレス:ml_helpline@nyk.jp
(2)〒104-0061 東京都中央区銀座三丁⽬7番3号 銀座オーミビル9階
弁護⼠法⼈星川法律事務所
リスクマネジメント
当社グループでは、リスクとは、グループ各社の経営基本方針(「経営理念・行動指針」、「行動規範」)や経営 計画(事業方針、中期経営計画、予算)などの達成を阻害する要因であると考えています。事業経営に伴って生じるリスクの状況を正確に把握し、適切な管理を行うための体制の整備と、その効果的な運用を実現することで、企業の健全性の確保、ひいては企業の存続可能性の維持に努めています。
体制
当社グループでは「NAS グループリスク管理規程」を制定に基づき、リスク管理を実施しています。
統括責任者
日本冶金工業株式会社代表取締役社長
管理責任者
●全社的リスク
日本冶金工業 ー 各部門担当役員および常設委員会委員長
上記以外のグループ会社 ー 各社代表取締役社長
●業務プロセスリスク ー 各業務所管部門長
リスク管理プロセス
- ①リスクの特定
- 日本冶金工業内部統制室に設置する「コンプライアンス事務局」主催の下、グループ各部門長とその各部門の担当者がリスクの特定(抽出・見直し)を行う。
- ②リスクの分析・評価、対応方針決定
- コンプライアンス事務局、日本冶金工業内部統制室が原案を作成し、コンプライアンス委員会によって、以下の項目を決定、コンプライアンス委員長は統括責任者に承認を得る。
- ① 対応計画案が必要なリスクの選定と必要に応じた優先順位付け
- ② 対応計画案の担当部署、担当者の選任
- ③ 日常対応(通常の社内会議体において定期的あるいは臨時に協議検討する)に委ねるべきリスクの選定
- ③対応計画の立案と実行
- 担当部署、担当者は期限までに対応計画を作成し、コンプライアンス事務局に提出する。コンプライアンス委員会は委員会内で当該対応計画案を検討、修正し、担当部署と連名で経営会議による承認を得る。
統括責任者は、経営会議で承認された対応計画を直ちに実行する。
緊急対応体制
当社グループはリスクマネジメントを通じてリスクの最小化に努めていますが、保有もしくは残留したリスクや想定し得なかったリスクが顕現化した場合、これを緊急時 として「緊急対応体制」の運用をあらかじめ決めています。 緊急事態に至った場合の、情報収集と伝達、緊急対応組織の立ち上げ、緊急対応計画の策定などを定め、適切な危機管理を図ることとしています。
情報セキュリティ
当社は、お客さまからいただく情報を含め、保有するさまざまな営業情報、技術情報を用いて他社との差別化を図り競争力を維持しています。こうした情報は、当社の企業価値の源泉になっておりその活用とともに厳格な管理が求められています。
また、個人情報保護やインサイダー取引防止の観点からも関連法令に基づく適切な管理が必要と認識しております。
当社は、このような背景を踏まえ、情報漏洩やサイバー攻撃等を未然に防ぎ、情報セキュリティを確保するための制度、仕組みを以下の3点をポイントに構築しています。
第一に、情報の保護や適切な管理を社内ルールとして定めて効果的に運用できる体制を整備しています。情報セキュリティに関するアセスメントを実施することによりリスクを抽出し、対策を立案、実行しています。また、定期的な説明会を開催することにより、情報セキュリティの必要性や重要性について従業員の意識向上を図っています。
第二に、業務アプリケーションやメールシステム等の情報システムやデータをサイバー攻撃から守るために異常を検知し除去する等の防御機構を多重化し脅威に備えています。防御機構は共通仕様としてグループ全社に導入しています。
第三に、情報セキュリティの管理状況について、取り巻く環境、リスク及び対策、教育訓練等をポイントとして経営層と共有し、各種施策を全社のコンセンサスのもとに実効的に進めています。
知的財産管理
当社は、高機能材の技術的優位性を維持するため、国内で約140件の特許権を保有しています。インド・中国をはじめとする諸外国においても多数の特許を出願し、特許権を取得しています。
当社の商標である「NAS」および双輪マークは、当社グループのブランドおよびシンボルマークとして、世界各国で商標登録されています。