社外取締役座談会
社外取締役座談会

日本冶金工業の新たな成長に向け
外部の目でガバナンス強化を
支えていきます

社外取締役 道林 孝司 社外取締役 道林 孝司

取締役会の実効性評価について

道林私が社外取締役に就任した2016年は、コーポレートガバナンス・コードが制定された翌年でした。当社のガバナンスは、それから6年間にわたって着実に改善されており、直近の実効性評価ではほぼ満足できるレベルに達していると思います。残された課題としては、経営トップの選任プロセスがありますが、当社の実態に即した解決策を得るべく十分な議論が必要です。

取締役会での意見交換は活発であり、社外取締役の皆さんからは時に厳しいコメントも出されています。経営サイドはそれを真摯に受け止められ、適切な対策が講じられていることは高く評価できます。また、取締役会の他にもフリーにディスカッションできる場として、担当役員や監査役とのミーティングを設けていただいており、インプットされる情報は質・量ともに申し分ないと感じます。

私の場合、知りたいことや気になることがあれば、役員だけでなく実務者の方々にも声をかけて質問していますが、皆さん、お忙しい中でも丁寧に回答してもらっています。ガバナンスの観点では、取締役会に求められる機能は十分に果たされており、実効性のある運営がなされていると思います。

江藤私は2022年6月の就任でしたが、そこから約2か月かけて生産現場まで詳細に見学させてもらいました。職場の風通しの良さや皆さんの前向きな姿勢を強く感じることができました。実効性評価の観点では、谷さんと同様、当社には社外取締役の意見をしっかり受け止め、積極的に改善していこうという意欲が感じられます。

社外取締役 谷 謙二 社外取締役 谷 謙二

中計策定のプロセスへの関与

道林当社は、前々回の「中期経営計画2017」で成長基盤が出来上がってきて、そこで掴んだ自信が次の「中期経営計画2020」に反映されることで確かな成果に繋がっています。これをベースに策定された「中期経営計画2023」では、次の成長に向けた設備投資や研究開発を実行し、事業基盤の強化・拡大を図っていこうとされています。全社一丸、自信を持って進んでいける素晴らしい計画になったと思います。

策定プロセスの透明性が高いと思います。最初にどのような方針で取り組むかが示され、各部門との議論が重ねられて、その都度、取締役会で中間報告をいただいています。前の「中期経営計画2020」の定量目標はかなりの部分を前倒しで達成されていましたが、それで良しとせずに、定性的な観点で何が必要かという検討が重ねられています。積み残した課題についても、次の中計では確実にフォローされています。こうした点も高く評価できるのではないでしょうか。

サステナビリティレポートで開示された6つの重要課題については、全社方針とリンクした上で、各部署の具体的なアクションに繋がっています。課題解決に向けて組織全体が連動し、PDCAサイクルを回していく仕組みが良くできていると思います。

江藤個人的な感想としては、昨年度までの実績からすると、新中計ではもう少し上を望んでも良いのでは…という気もしましたが、今回の目標設定は市況に影響されずに利益を出していくという覚悟の表れと捉えています。今後、グループ経営の強化や人材育成を進めていくためには、業績の数値だけでなく経営の基盤になる部分も強化、フォローしていく必要があると思います。

社外取締役 菅 泰三 社外取締役 菅 泰三

2030年のありたい姿に向けて

道林2030年を見据えた当社のありたい姿については、定量目標も含めて議論を重ねられた上で提示されました。具体的な施策の中身については次の中計以降になると思いますが、今回の中計では純資産規模などの重要経営指標も含め、中長期的にどのような着地点を目指すのかが提示されたことは重要だと思います。

江藤私は、社外の方にもわかりやすい中計をお願いしました。プライム市場にあってPBR1倍割れが取り上げられる中では、改善に向けた方針や取り組みを社外の方にもわかる言葉、わかるストーリーで語ることが大事です。一つ気になる点としては、ステンレス鋼と高機能材の生産拠点が1カ所ということ、これは将来の成長を考えた場合の課題になりうると思っています。

当社が存続・発展していく上で生産性の向上は欠かせません。本社も工場も、AIやデジタルの活用を含めて全体で推進していくべき課題ではないでしょうか。もう一つは拡大の視点です。事業規模を拡大するには、他企業とのコラボレーションという方法もあると思います。そのために新たな領域に挑戦できる人材を獲得・育成することも重要です。人の手当てと評価制度を確立し、業務においては明確なミッションを与えるなど、経営戦略と人材戦略を一体で進めていく必要があると思います。

中計で掲げた、ステンレス一般材の収益基盤を継続しながら高機能材を伸ばしていくという体制については、生産と販売の両面から具体的に整備していくことも課題です。また、カーボンレス・ニッケル製錬プロジェクトが進んでいますが、これはCOの削減と関連して、当社にとって極めて重要な課題です。ぜひとも前倒しで達成していただきたいと思います。もう一つはDX対応ですが、当社はかなり遅れていると感じます。生産現場と管理部門を含めた全社的なDX戦略をどう進めるのか。ハード面の戦略投資が一段落したところで、ぜひソフト面の戦略投資も推進していただきたい。これらの点については、外部の視点でモニタリングしフォローしていくつもりです。

道林人的資本の充実については、本当の意味で人材を人財にしなければなりません。これは、鉄鋼メーカーとしては規模が大きくない当社にとって重要な観点だと思います。当社はこれまでも自主改善活動を通じて、言われた仕事をこなすのではなく、自分たちで考えて行動する人材づくりに注力してきました。そうした現場の人たちの意見をもっと経営に取り入れるべきです。そのためには、サステナビリティレポートや統合報告書を社員全員に読んでもらい、「会社の未来を作っていくのは自分たち」という意識を持ってもらうことも大切だと思います。

社外取締役 道林 孝司 社外取締役 道林 孝司
社外取締役 谷 謙二 社外取締役 谷 謙二
社外取締役 菅 泰三 社外取締役 菅 泰三
社外取締役 江藤 尚美 社外取締役 江藤 尚美