株主・投資家の皆様へ
当社グループの戦略分野である高機能材につきましては、インドでの火力発電所向け排煙脱硫装置をはじめとする環境・エネルギー分野の需要が引き続き堅調に推移し、家電製品向けシーズヒーター材等の耐久消費財分野でも在庫調整からの進展が見られました。一方、中国市場では太陽光発電関連プロジェクトが減速するなど総じて需要は停滞しました。
当社グループではこのような外部環境のもと、「中期経営計画2023」で掲げた施策を着実に遂行してまいりました。回復基調にある輸送機器向けや家電製品向け分野ならびに引き続き堅調であるオイル・ガスやカーボンニュートラル関連市場での需要取り込みに注力した結果、販売数量は昨年度比で増加しましたが、高機能材の販売構成の影響等により収益は悪化する状況となりました。
その結果、当連結会計年度の販売数量につきましては前年度比12.3%増(高機能材7.3%増、一般材14.1%増)の一方、連結売上高は172,097百万円(前年度比8,244百万円減)となりました。また、利益面につきましては、連結営業利益16,967百万円(前年度比3,044百万円減)、連結経常利益16,200百万円(前年度比2,929百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益11,579百万円(前年度比1,986百万円減)となりました。
剰余金の配当に関しましては、事業基盤の整備に必要な投資や業績見通しなどを考慮しつつ、さらなる財務体質の強化を図りながら安定的に実施することを基本方針としており、当期の期末配当につきましては、1株当たり120円(普通配当100円、創立100周年記念配当20円)といたしました。これにより当期の年間配当は、2025年9月30日を基準日とした中間配当(1株当たり100円)と合わせ、1株当たり220円となりました。
当社グループを取り巻く事業環境は、米国の関税政策が世界経済に与えるリスク、東アジア地域での需要を超えた過剰生産等を背景にしたステンレス一般材の国内市場への流入と定着、人件費および資材価格の高騰など、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループといたしましては、引き続きステンレス一般材の国内市場の需要を確保し、高機能材の需要が堅調であるインドや中東地域を中心とした環境・エネルギー分野での拡販に向けた取り組みや、2024年度下期に稼働を開始した高効率冷間圧延設備など最新設備導入による操業効率化や品質向上を実現し、収益基盤や財務基盤の強化に努めてまいります。
株主の皆様におかれましては、なにとぞ絶大なるご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2025年6月