株主・投資家の皆様へ
当社グループの戦略分野である高機能材につきましては、インドでの火力発電所排煙脱硫装置向けをはじめとする環境・エネルギー分野では堅調に推移しました。家電製品向けシーズヒーター材やバイメタル材等の耐久消費財分野でも在庫調整からの進展が見られましたが、下半期にかけてニッケル価格相場の下落に伴う先安感や中国経済の停滞によりプロジェクトの延期が相次ぐ状況となり、全体として需要は低調に推移しました。
当社グループではこのような外部環境に対応して、需要に応じた生産体制にシフトしつつ、「中期経営計画2023」で掲げた施策を着実に遂行し、適正なロールマージンの確保および徹底したコストダウンを実施してまいりました。その結果、当連結会計年度の販売数量につきましては前年度比23.3%減(高機能材15.1%減、一般材25.2%減)となり、連結売上高は1,803億41百万円(前年度比189億83百万円減)となりました。また、利益面につきましては、連結営業利益200億10百万円(前年度比92億45百万円減)、連結経常利益191億28百万円(前年度比86億10百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益135億65百万円(前年度比61億38百万円減)となりました。
剰余金の配当に関しましては、当社は事業基盤の整備に必要な投資や業績見通しなどを考慮しつつ、さらなる財務体質の強化を図りながら安定的に実施することを基本方針としており、当期の期末配当につきましては、1株当たり100円といたしました。これにより当期の年間配当は、2023年9月30日を基準日とした中間配当(1株当たり100円)と合わせ、1株当たり200円となりました。
当社グループを取り巻く事業環境は、欧州、中東における地政学的リスクによる世界経済の分断と混乱の長期化、中国経済の停滞等による当社グループの戦略分野である高機能材の需要低迷、東アジアの過剰設備等を背景にしたステンレス一般材の国内市場への流入と定着、国内で急速に顕在化している人手不足による生産・投資案件の遅延など、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループといたしましては、昨年策定した「中期経営計画2023」の主要施策を着実に実行し、環境や脱炭素関連等の成長分野、中国やインドといったターゲット市場での高機能材拡販に向けた取り組みや、リサイクル原料使用拡大をはじめとした原料多様化によりさらにコスト競争力を高め、収益基盤や財務基盤の強化に努めてまいります。
株主の皆様におかれましては、なにとぞ今後とも絶大なるご支援とご協力を賜りますよう、お願い申しあげます。
2024年6月