沿革
1935年(昭和10年)に、日本火工(現 日本冶金工業)は18-8ステンレス鋼の製造を初めて手掛け、戦後は、いち早く酸素製鋼法によってステンレス鋼の大量生産への途を拓きました。以来、当社は、日本の成長と期を一にして、社会の様々な分野へステンレスを供給し続け、斯界のパイオニアとしてステンレス鋼の開発と生産を担ってきました。
今日、その長い歴史の中で培った豊富な経験、高度な技術を生かし、人々の生活を潤す一般材から、電子・精密分野を中心にした高機能材に至るまで、ステンレスの総合メーカーとして広く社会に貢献しています。
今日、その長い歴史の中で培った豊富な経験、高度な技術を生かし、人々の生活を潤す一般材から、電子・精密分野を中心にした高機能材に至るまで、ステンレスの総合メーカーとして広く社会に貢献しています。
18-8ステンレスの初出鋼は「おかめの面」1935年(昭和10年)10月25日
日本火工(現 日本冶金工業)は、1935年(昭和10年)に川崎合金工場(後の川崎工場で、現在の「川崎製造所」の前身)を建設し、そこで当社初の18-8ステンレス製品が誕生しました。
地元、川崎大師門前の出店で「おかめの面」を買い求め、これを当社初のステレス製品の型にと持ち帰りました。その「おかめ面」を木型の代わりに用いて砂型をつくり、そこに50kg型誘導炉で溶解した18-8ステンレス鋼を注ぎました。まさに当社のステンレス製造の歴史にとっての“初湯”を注いだのです。こうしてできた18-8ステンレス鋼製の「おかめ面」が当社の製品第1号です。
ステンレス鋼初出鋼の様子
I. 日本冶金工業の草創期
1925年(大正14年) | 中央理化工業(株)設立 当時の事業目的は消火器製造販売 |
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1928年(昭和3年) | 日本火工(株)と社名改称 事業目的を「煙火の製造及び行政官庁委託火工品製造販売」「火薬類の販売」に変更 |
1934年(昭和9年) |
川崎作業所(川崎市大師河原)建設 大江山ニッケル鉱業(株)設立(大江山ニッケル工業(株)の前身) |
1935年(昭和10年) | 川崎合金工場(後に川崎工場に改称)建設 川崎工場にてステンレス初出鋼(高周波誘導炉3基火入れ式) |
1936年(昭和11年) | 特殊鋼・ステンレス鋼の工業生産開始 |
1939年(昭和14年) | 社章(双輪マーク)制定 |
1942年(昭和17年) |
東京・大阪取引所に株式上場 日本冶金工業(株)と社名改称 |
1943年(昭和18年) |
大江山ニッケル工業(株)を合併し、ニッケル鉱石の採掘並びにフェロニッケル製錬事業を継承 川崎工場を川崎製造所と改称 大江山の岩滝製錬工場を岩滝製錬所と改称 |
1948年(昭和23年) | 岩滝製錬所を大江山製造所と改称 |
1950年(昭和25年) | 川崎製造所で酸素製鋼法によるアーク炉※1でのステンレス鋼製造に成功 |
1956年(昭和31年) | 川崎製造所の構内に研究所設立 |
1957年(昭和32年) | 川崎の埋立地約10万坪を神奈川県より買収 |
II. ステンレス量産体制の構築
1959年(昭和34年) | 合金鋼、炭素鋼の生産中止、ステンレス鋼板主力に |
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1960年(昭和35年) | 川崎製造所 冷間圧延機(20段ゼンジミアミル)稼働 NAS鋼※2製品商標登録 |
1962年(昭和37年) | 川崎製造所30tアーク炉稼働(ステンレス鋼専業メーカーとして国内初の大型炉) |
1965年(昭和40年) | 川崎製造所 連続鋳造機(CCM)稼働 |
1966年(昭和41年) | 川崎製造所 熱間圧延機(プラネタリーミル)稼働 通産大臣賞受賞(計量管理優良工場) |
1968年(昭和43年) | 川崎製造所60tアーク炉(8号炉)稼働 |
1969年(昭和44年) | 通産大臣賞受賞(標準化並びに品質管理実施優良工場) |
1970年(昭和45年) |
川崎製造所60tアーク炉(9号炉)稼働 川崎製造所 連続鋳造機(CCM2号機:5フィート幅)稼働 労働大臣賞受賞(優良職業訓練所) |
1971年(昭和46年) |
川崎製造所 冷間圧延機(20段ゼンジミアミル3号機)稼働 川崎製造所60t VOD※3稼働 |
1975年(昭和50年) | 大江山製造所を分離、大江山ニッケル(株)へ譲渡 |
1977年(昭和52年) | 川崎製造所 AOD※4稼働 |
1983年(昭和58年) | 大江山ニッケル(株)を吸収合併、大江山製造所と改称 |
1989年(昭和64年) |
本社事務所を現在の三栄ビル(東京都中央区京橋1丁目)に移転 川崎製造所 第二冷延工場増築工事完了(5AP※5、HKライン※6、精整設備) (世界初のコンバインドCAP※7(5AP※5)) |
1990年(平成2年) |
川崎製造所 CTS※8稼働 大江山製造所 5号ロータリーキルン稼働 川崎製造所 高圧ガス関係優良事業所として神奈川県知事表彰 |
1991年(平成3年) | 川崎製造所の構内に中央物流センター設置 |
1993年(平成5年) | 川崎製造所 TPM優良事業場賞の受賞 |
1994年(平成6年) |
大江山製造所 TPM優良事業場賞の受賞 川崎製造所 ISO9002の認証取得 |
III. 競争力強化に向けた設備投資と高機能材部門の拡販
1996年(平成8年) | 川崎製造所 新熱延工場稼働 |
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1999年(平成11年) |
川崎製造所 ISO14001の認証取得 大江山製造所 ISO14001の認証取得 |
2002年(平成14年) | ジョン・チップマン賞(米国鉄鋼協会)を特殊鋼メーカーで初受賞 |
2003年(平成15年) |
上海駐在員事務所開設 川崎製造所、大江山製造所の分社化((株)YAKIN川崎、(株)YAKIN大江山の設立) |
2008年(平成20年) | (株)YAKIN川崎(現川崎製造所) 新AOD※4稼働 |
2009年(平成21年) | (株)YAKIN川崎(現川崎製造所) OSHMS(労働安全衛生マネジメントシステム)の認証取得 |
2010年(平成22年) | (株)YAKIN川崎、(株)YAKIN大江山を吸収合併 |
2011年(平成23年) | 米国現地法人 Nippon Yakin America Inc.設立 |
2012年(平成24年) |
上海現地法人 日邦冶金商貿(上海)有限公司開設 ロンドン現地法人 Nippon Yakin Europe Ltd.設立 |
2014年(平成26年) | シンガポール現地法人 Nippon Yakin Asia Pte Ltd.設立 |
2015年(平成27年) | ノルウェー標準海洋規格(NORSOK)を取得 |
2018年(平成30年) | 中国合弁会社(南鋼日邦冶金商貿(南京)有限公司)設立 |
2022年(令和4年) | 新電気炉(E炉)稼働 |
※1 アーク炉:電力で原料を溶解する炉(電気炉)
※2 NAS鋼:自社の規格名および製品名に冠しているブランド名称。
※4 AOD:アルゴン酸素精錬
※5 5AP:当社5番目の焼鈍酸洗ラインの略称
※6 HKライン:製品研磨ライン(当社独自の名称)
※7 コンバインドCAP:冷延材用焼鈍酸洗ラインに調質圧延装置と矯正装置を組み込んだライン
※8 CTS:溶鋼の最終的な成分と温度の調整を行う設備(当社独自の名称)
※2 NAS鋼:自社の規格名および製品名に冠しているブランド名称。
NIPPON-YAKIN(ニッポン-ヤキン)
AUSTENITE(オーステナイト=ステンレスの代表的な組織)
STAINLESS STEEL(ステンレス スチール)
の頭文字をとってNAS鋼と名付けたもの。
※4 AOD:アルゴン酸素精錬
※5 5AP:当社5番目の焼鈍酸洗ラインの略称
※6 HKライン:製品研磨ライン(当社独自の名称)
※7 コンバインドCAP:冷延材用焼鈍酸洗ラインに調質圧延装置と矯正装置を組み込んだライン
※8 CTS:溶鋼の最終的な成分と温度の調整を行う設備(当社独自の名称)