高機能材

ステンレス鋼や合金の中でも高い機能性を持つ材料です。高耐食性、耐熱性、高強度、熱膨張制御、軟磁性、中性子吸収などの優れた特性を持っています。海水淡水化、原子力、半導体、太陽電池、燃料電池などの最先端技術に要求される厳しい環境、条件下で使われます。

高耐食鋼・合金

比較的腐食しにくい標準的ステンレス鋼も、過酷な環境下では腐食により孔が空くこともあります。クロム、モリブデン、ニッケルなどの添加量を最適化することで耐全面腐食、耐粒界腐食、耐孔食・すきま腐食、耐応力腐食割れの性能を向上させることが可能です。こうして開発された高耐食ステンレス鋼・ニッケル合金は海水淡水化、海洋構造物、燃料電池、原子力発電設備などの厳しい腐食環境下で使用されます。

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耐熱鋼・合金

高温の環境で使用される材料では高温下での強度、耐酸化性と耐高温腐食性が問題となります。高温強度を向上させるにはニッケルが、耐酸化性を向上させるにはクロム、シリコン、アルミニウムなどが有効です。これらの元素を最適化して開発された耐熱鋼・耐熱合金は、高温下で優れたクリープ強度、熱サイクル疲労、高温ガス腐食性をもっています。熱交換器、圧力容器、熱処理炉部材等に使われます。

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高強度ステンレス鋼

ステンレス鋼は加工硬化、固溶強化、析出硬化によって強度が上がります。析出硬化はアルミニウムや銅を添加したステンレス鋼を所定の温度域で熱処理して金属間化合物を析出させて高強度にするもので、その代表がEN1.4542(17-4PH®)です。固溶強化は窒素等の元素を配合することで強度を上げるものでNASNM15Mがあります。これらは強度と耐食性が要求される部分に使われます。

*17-4PHはAK Steel Corporationの登録商標です。
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低・高熱膨張合金

温度の変化にともなって大きく膨張収縮するのが金属の特徴の一つですが、インバー合金NAS36は鉄の1/10、アルミの1/20しか熱膨張しません。この低熱膨張性という特徴は、高精細、高精度が要求される半導体製造機械、検査機器、FPD製造機器、炭素繊維部品向け精密成形金型、天体望遠鏡などの用途に活かされています。また低熱膨張と高熱膨張の材料を張り合わせて温度差を動きに変えるバイメタルにも使われます。

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軟磁性材料

小さな磁場でも敏感に反応して容易に磁化される軟磁性材料は保磁力が小さい一方、透磁率が大きいのが特徴でエネルギーロスが少ない材料です。トランスやインダクタの磁心、磁気ヨーク、磁気シールドなどに、幅広く応用されています。

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非磁性材料

通常のオーステナイトステンレス鋼は冷間加工を受けると磁性を帯びますが、Mnを含有したオーステナイトステンレス鋼は強い冷間加工を受けても磁性を帯びることがありません。NAS NM15M、NAS NM17は当社が開発した非磁性ステンレス鋼です。
非磁性バネ、携帯電話、服飾用金属部品、電子部品、その他各種の非磁性が要求される部品などに使用されます。

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純ニッケル

ニッケルは苛性ソーダ、塩素ガス等による腐食に対して優れた耐食性を持つことから、イオン交換膜法による苛性ソーダ製造装置用材料として使用されています。また電気抵抗が小さく成形加工性にも優れることから各種電子端末の端子、高容量電池の集電体にも利用されています。さらに異なる電極用途として、電解着色用電解槽の電極にも用いられています。

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中性子吸収材

ステンレス鋼に優れた中性子吸収特性を持つボロン(B)を添加した中性子吸収材は、耐食性と強度が高く、中性子を外に出さないその特性から、使用済み核燃料棒の貯蔵ラック、輸送設備、あるいは貯蔵キャスクなどに使用されます。

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