耐熱鋼・合金

NAS 800H・NAS 800T

  • NAS 800H
  • JISNCF 800H
  • UNSN08810
  • DIN/EN1.4876
  • NAS 800T
  • JIS
  • UNSN08811
  • DIN/EN1.4876
Incoloy ® 800H 相当合金

NAS 800H(NCF 800H、UNS 08810)/NAS 800T(UNS N08811)は高温での優れた強度、耐食性および耐酸化性を持つ高ニッケル耐熱鋼で、高温での組織安定性が高いという特徴を有しております。さらに、高温熱処理による結晶粒制御とC、Ti、AI含有量のコントロールで高いクリープ強度を持つ合金です。当社では板、帯を供給します。

**Incoloy は Special Metals Corporation の登録商標です。

製品資料

NAS 800H・800T製品情報PDF(243KB)

主要成分 [NAS 800H]32Ni-20Cr-0.2Ti-0.2Al
[NAS 800T]32Ni-20Cr-0.5Ti-0.5Al
製品形状
帯
板
厚板厚板
加工性 熱間および冷間での加工性は、オーステナイトステンレス鋼とほぼ同様です。熱間加工温度は1000~1230℃で、軽い加工は850℃程度までは可能ですが、650~850℃では割れが発生する場合がありますので避けてください。冷間加工性は、まったくオーステナイトステンレス鋼と同様ですが、加工硬化は若干低目となる傾向にあります。
溶接性 溶接は標準オーステナイトステンレス鋼と同様に、TIG、MIGおよび被覆アーク溶接が可能です。溶接棒はAWS ERNiCr-3/AWS ENiCrFe-2溶接棒がよく用いられます。
熱処理 NAS 800H/NAS 800Tは、オーステナイトステンレス鋼と同様にオーステナイト組織を呈し、熱処理もオーステナイトステンレス鋼に準じます。通常用いられる熱処理温度は、次の通りです。
・固溶化熱処理1100~1170℃ 急冷
使用温度が高く、クリープラプチャー強度が要求される場合には、ASTM B409にある次の様な熱処理が適用されます。
・固溶化熱処理温度:
1121℃以上(UNS N08810)
1149℃以上(UNS N08811)
高温特性 ニッケル、クロムの含有量が高いため、特に高温における酸化および浸炭に対する抵抗が大きく、耐酸化性はSUS 310Sよりも優れ、むしろNAS 600に近いといえます。高温強度も優れ、ほぼNAS 600と大差なく、かつ使用中のシグマ相析出による脆化もおこらないため耐熱用として広く用いられています。一般に600℃以下の温度域ではNAS 800が使用され、それ以上の温度でクリープ特性を要求される場合は、NAS 800H/NAS 800Tが使用されます。
耐食性 硝酸、硝酸硫酸などの酸化性の腐食環境およびソーダ塩などの溶融塩中での耐食性に優れており、応力腐食割れ感受性が標準オーステナイトステンレス鋼に比べ優れています。
用途 各種化学プラント、熱処理炉、その他高温で用いられる材料として広く用いられています。