耐熱鋼・合金

NAS 601

  • JISNCF 601
  • UNSN06601
  • DIN/EN2.4851
Inconel® 601 相当合金

NAS 601(NCF 601、UNS N06601)は、クロム、アルミニウムを含有するNi基耐熱・耐酸化合金で、高温強度が高く、耐酸化性、耐浸炭性、耐浸硫性に優れています。特に、温度変化の激しい繰り返し酸化用途での耐スケール剥離性に優れ、このため、種々の熱処理炉部材やディーゼル車用グロープラグ部品などに使用されています。当社では板、帯を供給します。

*InconelはSpecial Metals Corporationの登録商標です。
主要成分 60Ni-23Cr-1Al-0.2Ti
製品形状
帯
板
厚板厚板
加工性 熱間加工は比較的容易であります。加熱温度は1150~1200℃、熱間加工温度は1050~1200℃、軽い加工は850℃まで可能ですが、650~850℃の温度範囲では割れが発生することがありますので、避けてください。また炭化物の析出を避けるため、熱間加工後の冷却は、500~800℃の範囲をできるだけ早く行うことをおすすめます。
NAS 601は冷間加工性に優れ、SUS 310S、Alloy と同程度の加工ができます。
エリクセン値
(mm)
L.D.R コニカルカップ
試験値
NAS 601 11.7 2.18 2.18
SUS 304 12.4 2.15 2.15
SUS 310S 12.2 2.12 2.12
Alloy 800 11.4 2.18 2.18
溶接性 溶接は標準オーステナイトステンレス鋼と同様に、TIG、MIGおよび被覆アーク溶接が可能です。開先加工は機械切削が望ましく、またU、V開先角度は広くとってください。この場合、特に表面の汚染を嫌いますので、溶接部の洗浄については特に留意してください。
熱処理 NAS 601は、析出硬化型合金ではありません。したがって、熱処理による時効硬化を望むことはできません。冷間加工を施したものの軟化は900℃程度から生じますが、高温強度を必要とする場合は、1100〜1200℃での固溶化熱処理の実施をおすすめします。このときの冷却は水冷で、板厚によっては空冷でも大丈夫です。しかしながら、炭化物の析出を避けるため500〜800℃の範囲をできるだけ早く冷却することをおすすめします。
切削性 高ニッケル合金の特徴として、切削性はオーステナイトステンレス鋼に比較して劣ります。切削は高速度鋼工具でも可能ですが、なるべく超鋼工具を用い、送り速度を遅くし、切り込みは深くしてください。旋盤加工における目安となる送り速度は、次の通りです。
・高速度鋼工具:1050~1350mm/min
・超鋼工具:3000~5250mm/min
切削後、溶接または熱処理を施す場合には潤滑油を完全に除去する必要があります。
用途 マッフル、バケット等の加熱炉部材、工業熱処理炉部材、特殊ガラス溶解炉部材、自動車用グロープラグ部品、自動車排ガス用センサーカバー材等