耐熱鋼・合金

NAS 600

  • JISNCF 600
  • UNSN06600
  • DIN/EN2.4816
Inconel® 600 相当合金

NAS 600(NCF 600、 UNS N06600)は、クロムを14〜17%を含有するニッケル基合金で、高温における耐酸化性が極めて優れている高級耐熱合金であります。また、各種の酸およびアルカリに極めて優れた耐食性を持つ耐食合金としても広い用途を持っております。当社では板、帯を供給します。

*InconelはSpecial Metals Corporationの登録商標です。

製品資料

NAS 600製品情報PDF(606KB)

主要成分 77Ni-16Cr-6Fe
製品形状
帯
板
厚板厚板
加工性 熱間加工は比較的容易であります。加熱温度は1150~1180℃、熱間加工温度は1000~1180℃、軽い加工は850℃まで可能ですが、650~850℃の温度範囲では割れが発生することがありますので、避けてください。冷間加工性は、オーステナイトステンレス鋼よりも容易でモネルと同様です。
溶接性 溶接は標準オーステナイトステンレス鋼と同様に、TIG、MIGおよび被覆アーク溶接が可能です。開先加工は機械切削が望ましく、またU、V開先角度は広くとってください。この場合、特に表面の汚染を嫌いますので、溶接部の洗浄については特に留意してください。
熱処理 NAS 600は、析出硬化型合金ではありません。したがって、熱処理による時効硬化を望むことはできません。通常用いられる熱処理温度は、次の通りです。
・焼なまし800~1150℃空冷または水冷
なお、本合金は1050℃以上になると結晶粒の粗大化が発生する傾向が強いので注意を要します。
切削性 高ニッケル合金の特徴として、切削性はオーステナイトステンレス鋼に比較して劣ります。切削は高速度鋼工具でも可能ですが、なるべく超鋼工具を用い、送り速度を遅くし、切り込みは深くしてください。旋盤加工における目安となる送り速度は、次の通りです。
・高速度鋼工具:1050~1350 mm/min
・超鋼工具:3000~5250 mm/min
切削後、溶接または熱処理を施す場合は、潤滑油を完全に除去する必要があります。
高温特性 高温における耐酸化性は極めて良好で、長期連続の空気酸化だけでなく、各種雰囲気中で使用可能です。また、窒素、水素および浸炭に対しても本合金は抵抗性が優れておりますので、各種熱処理炉に用いられます。しかしながら、湿った塩素、臭素には侵されますので注意が必要です。各種雰囲気での使用限界温度の目安は、次の通りです。
・長期連続の空気酸化:1100℃
・イオウを含有しない還元性雰囲気(H2またはCO):1150℃
・酸化性の含イオウ雰囲気(亜硫酸ガスを含む空気中):815℃
・硫化水素を含む還元性雰囲気:535℃
・塩化水素:540℃
・塩化ガス:510℃
用途 原子力発電プラント、熱交換器、各種化学工業用蒸発缶、酸およびアルカリ工業用機器、熱処理炉部品、アフターバーナー部品、その他高温で使用される部品