中性子吸収材

NAS 8R10

NAS 8R10ボロン添加ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼に中性子吸収能の高い天然ボロンを加え、熱中性子遮蔽能を高めた原子炉用ステンレス鋼です.主に使用済燃料貯蔵ラック用として使用されます。
連続鋳造工程材のため、ボロンが微細に分散した金属組織となっています。従来材に比べ延性が改善されていることが特徴です。日本冶金工業では板として製品を供給しています。


  • 厚板

鋼種・規格

NAS規格 ASTM EN JIS
NAS 8R10

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化学成分

  C Si Mn Ni Cr B
最小 8.00 18.00 1.00
最大 0.08 1.00 2.00 10.50 20.00 1.25

適宜、ニーズに対応し0.40~0.75%B添加ステンレス鋼の製造も可能です

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物理的性質

比熱 (J/kg・K) 25–100℃ 500
固有電気抵抗 (μΩ・cm) 79
熱伝導率 (W/m・K) 25–100℃ 13
25–200℃ 17
25–300℃ 21
25–400℃ 21
25–500℃ 25
平均熱膨張係数 (10-6/℃) 25–100℃ 16.7
25–800℃ 20.0
縦弾性係数 (MPa) 25℃ 221000
(22.1 x 104)
磁性 あり

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機械的性質

0.2%耐力
(N/mm2)
引張強さ
(N/mm2)
伸び
(%)
硬さ
(HRB) (HB)
> 204 > 519 26 < 100 < 217

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加工性

常温で内側半径2t(t=板厚)で90°曲げができます。ただし表面を曲げ線に対して直角方向に#320程度の番手で研磨仕上げる必要があります。
切削加工は、切削速度を遅くし、切り込みを若干深くすることでSUS304並に行えます。切削工具は通常より2~3°鋭角にする必要があります。

溶接性

被覆アーク溶接またはTIG溶接が可能で、SUS304と同等の溶接施工ができます。溶接材料はD308またはD308Lが推奨されます。

熱処理

固溶化熱処理は1000~1100℃で加熱した後、大気中または水中で急冷します。

酸洗

表面スケールが厚い場合には硝酸10~25%、ふっ酸1~4%の温水溶液で、スケールが薄い場合には硝酸12~15%、ふっ酸1%の温水溶液で酸洗いできます。SUS304に比べて過酸洗されやすいので注意が必要です。

特徴

自然界のボロンには中性子を吸収するB10が約20%含まれています。
B10が中性子を吸収してB11となります。

  • B10 + n0 → B11

鋼中のボロン量が増えると中性子吸収能が高くなります。ステンレス鋼に約1%Bを添加することで中性子遮蔽効果はボロン無添加鋼の3倍に相当します。

中性子遮蔽に及ぼすボロン含有量依存性

Image: 中性子遮蔽に及ぼすボロン含有量依存性

用途

  • 使用済燃料貯蔵ラック
  • 使用済燃料貯蔵キャスク
  • 中性子遮蔽材

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